環境を考えるときに、絶対的な知識として必要なものが、おそらく熱力学的な考え方である。熱力学そのものは、もはや研究対象にはなり得ないために、このところ大学教育でもおろそかにされている傾向がある。化学系の学生にとって、熱力学は、相変わらず主要な知識だと思う。ここで熱力学の講義を展開するつもりはさらさら無いが、エントロピーで環境の何が語れるのか。逆に、環境の議論に必要な程度の「エントロピー」とは何か。 C先生:本日の話題は、エントロピーだ。エントロピーと聞くと多くの学生諸氏から、「嫌いだ」、という答えが帰って来そうだな。しかし、環境の話をするとき、エントロピーは必須だ。エントロピーを多少なりとも理解していないから、「完全ゼロエミッション」だ、「完全リサイクル」だ、といった、あり得ないことを主張する企業がでてしまう。 B君:そういえば、相変わらず「完全ゼロエミッション」を追求している企業がいるらし