タグ

ブックマーク / asread.info (12)

  • 『21世紀の資本』と民主主義の問題 – ページ 2 – ASREAD

    当の民主主義? 書の主題からはそれてしまうでしょうが、民主主義と関係した議論に注目してみましょう。 ピケティは第11章で、民主主義社会が能力主義的な世界観に基づいていることを述べた上で、「当の民主主義」について論じます。 当の民主主義と社会正義には、市場制度や、議会など形式的民主主義的制度機関以外に、独自の制度が必要だ。 第15章では、「真に民主的」なる言葉を用いています。 真に民主的な論争は信頼できる統計なくしては始まらないのだ。 こういった見解に対し、ある種の民主主義者からは批判が出るかもしれません。例えば、「当の民主主義」とか「真に民主的」とかの基準を、ピケティが勝手に設けているという批判です。素直に解釈するなら、ピケティは、今のアメリカなどは「当の民主主義」ではないと言っているようにも読めてしまいます。信頼できる統計と言っても、その信頼性の判定には貴族主義的要素が関わっ

    『21世紀の資本』と民主主義の問題 – ページ 2 – ASREAD
  • 主流派経済学と「不都合な現実」- 青木泰樹 連載【第3回】

    現実にあるものを無いと言ったり、黒を白と言い張る人は世間から疎まれる存在です。しかし、その人に権力がある場合は事情が異なります。例えば絶対権力を有する独裁者の言の前では、人々は理不尽さを感じつつも外面上服従しなければならないでしょう。実は経済学の世界にも、主流派経済学の権威を盾に無理を通す一群の経済学者がおります。彼等は人々の現実認識を巧妙な論理を使って歪めています。そうして出来上がった歪んだ経済観を払拭するためには、正確な経済知識が必要です。日は啓蒙の意味も込めて、理論を見境なく現実に適用しようとする経済学者の愚行について二回に渡ってお話ししたいと思います。今回は専ら理念的な面を、次回は統計的な面を主題にいたします。単純なカラクリさえ見抜けば、「王様は裸である」と堂々と主張できるのです。 主流派経済学の景況感 景気判断は、経済政策の立案に際しての前提条件です。しかし、前回の論考(【第2

    主流派経済学と「不都合な現実」- 青木泰樹 連載【第3回】
  • ネオリベ経済学の正体 - 青木泰樹 連載【第2回】

    経済政策を理解するためには、その土台である経済理論を知る必要があります。需要重視の経済学であるケインズ経済学と新古典派理論を継承する主流派経済学がその代表です。しかし、昨今、こうしたステレオタイプな認識だけでは充分ではありません。実は主流派経済学も一枚岩ではなく分岐しております。それぞれの内容が若干相違しているため、経済政策の意味合いも違ったものになります。今回は、そうした主流派経済学の事情と経済学者の動向についてお話ししたいと思います。 主流派経済学者は病気に罹らない 目的を達成するための最適な手段の選択は、ひとえに状況判断にかかっています。あらゆる病状に効く万能薬がないのと同様、適切な経済政策の手段も景気状況に応じて変わってくることは言うまでもありません。景気判断を誤れば、それは不適切な政策の発動につながりますから、実体経済を益々悪化させてしまいます。病状に応じた正しい処方箋が必要なの

    ネオリベ経済学の正体 - 青木泰樹 連載【第2回】
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2014/09/04
    青木泰樹
  • 経済社会学のすゝめ - 青木泰樹 連載【第1回】

    はじめまして。今回から寄稿させていただくことになりました青木泰樹です。宜しくお願い致します。 もっぱら経済関係の話題についてお話ししたいと思いますが、その内容は世間一般の経済学者の見解とはかなり異なったものになると思います。なぜなら、私の依拠する経済社会学は、既存の経済学の枠に収まらない部分を分析対象とするものだからです。収まりきらない所にこそ現実における真理があると私は考えております。初回はその辺りの事情について説明したいと思います。 複雑な社会をどう理解するか 社会は複雑です。壁を這う蔦(ツタ)のように様々な要因が絡み合っています。それを解きほぐし、その一から社会事象を理解しようとするのが社会科学を構成する各学科(社会諸科学)です。複雑なものを最初から丸ごと理解することはできないので、複雑さの一面だけを取り出そうとしたのです。それゆえ各学科は相互に孤立した学問として出発しました。

    経済社会学のすゝめ - 青木泰樹 連載【第1回】
  • マンデル=フレミング・モデルに対する誤解(1)ー 失われた20年の正体(その17) – ASREAD

    こんにちは、島倉原です。 今回から3回にわたり、財政政策の効果が無い、あるいは効果が乏しいことの論拠としてしばしば持ち出される、マンデル=フレミング・モデルについて解説してみたいと思います。 マンデル=フレミング・モデルはその名の通り、経済学者であるロバート・マンデル氏とジョン・マーカス・フレミング氏がほぼ同時期(1960年代初頭)に考案したマクロ経済モデルです(1999年、同モデルの功績により、当時存命だったマンデル氏のみがノーベル経済学賞を受賞しています)。 今回は、しばしば持ち出される「変動為替相場制のもとでは、マンデル=フレミング・モデルにより、理論的には財政政策の効果はないとされている」という議論には、ある意味理論的根拠すらないことを、マンデル氏の論文に基づいて示してみたいと思います。では、マンデル=フレミング・モデルについて比較的わかりやすく解説されている資料を見ていきましょう

    マンデル=フレミング・モデルに対する誤解(1)ー 失われた20年の正体(その17) – ASREAD
  • マンデル=フレミング・モデルに対する誤解(1)ー 失われた20年の正体(その17) – ページ 2 – ASREAD

    「金利固定」の制約がもたらす、財政出動無効化メカニズム では、財政出動や金融緩和を行うと、図1のIS*-LM*バランスは、それぞれどう変化するのでしょうか。 まず財政出動ですが、財政支出自身がGDPの一部であり、かつ乗数効果も働くため、他の条件が変わらなければGDPはより高いレベルでバランスします。したがって、IS*曲線が右側にシフトします。他方で、LM*曲線はそのままです。 結果として、為替レートが自国通貨高になるだけで、GDPは全く増えません(図2)。これは、「財政出動で経済取引用の貨幣需要量が増えて、資金調達コストを示す金利に上昇圧力がかかる→金利がもとの水準に低下するまで国外から資が流入し、自国通貨の価値が上昇する(国外の投資家が自国通貨を購入するため)→純輸出が減少し、財政出動分が打ち消される」というプロセスを経て実現します。 【マンデルの仮定の下で財政出動を行った場合】 では

    マンデル=フレミング・モデルに対する誤解(1)ー 失われた20年の正体(その17) – ページ 2 – ASREAD
  • 乗数効果低下論は主流派経済学の錯覚 ー 失われた20年の正体(その16)

    こんにちは、島倉原です。 財政出動が経済成長をもたらす根拠となる乗数効果について取り上げてきましたが、経済学者の間では、乗数効果の存在は認めつつも、「1990年代以降、乗数効果は低下している(従って、財政出動してもあまり意味がない)」という議論が多いようです。 今回は景気循環論の観点から、こうした議論が「主流派経済学の非現実的な議論に基づく錯覚」であることを論じてみたいと思います。 主流派経済学の分析手法であるVARモデル 例えば、リフレ派の経済学者・エコノミストの方々の共著「リフレが日経済を復活させる」第6章では、飯田泰之氏(明治大学政治経済学部准教授)がこのテーマを取り上げています。飯田氏は、1990年代以降時を追うにつれて財政政策の有効性が低下していることを分析したものとして、自らの共著論文の概略を紹介しています。 そこでは、「1980~1991年」「1980~1996年」「199

    乗数効果低下論は主流派経済学の錯覚 ー 失われた20年の正体(その16)
  • 乗数効果とは何だろうか(初心者向け) 失われた20年の正体(その14) – ASREAD

    こんにちは、島倉原です。 ここ6回ほどは、日経済の長期低迷の原因を日銀の金融緩和不足に求める議論を批判的に取り上げつつ、むしろ緊縮財政、即ち財政支出の不足に原因があるのではないか、という問題提起をしてきました。 今後は、財政政策を巡る議論、特に積極財政に反対する議論を取り上げながら、財政政策の有効性を検証していきたいと思います。 今回は、財政支出がGDP拡大に効果を発揮するメカニズムである、「乗数効果」を取り上げたいと思います。 GDPを政府支出以上に拡大、増幅させるのが乗数効果 乗数効果とは、有効需要(金銭的支出の裏付けがある需要。ここでは政府支出)を増加させた時に、当該増加額以上にGDPが増加する現象です。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。 そもそもGDPとは国内の総所得であり、総支出でもあります(誰かの支出は、別の誰かの所得である)。したがって、民間(国内家計及び国内企業)

    乗数効果とは何だろうか(初心者向け) 失われた20年の正体(その14) – ASREAD
  • 保守主義とケインズ主義

    インターネット動画「チャンネルAjer」の収録を行いました。今回は「保守主義とケインズ主義」というタイトルで、全体で約40分のプレゼンテーションになっています。 動画:『保守主義とケインズ主義①』島倉原 今回は、いわゆる「保守思想」について学問的に語ろう、という趣旨ではなく、あくまで経済政策のあり方についてのプレゼンの一環です。 現在、日経済の長期低迷の原因を分析した論文を執筆中で、次回以降はその説明を予定しています。そこでの議論の重要な基礎にもなっている、「雇用、利子、お金の一般理論」(以下、「一般理論」)の著者として有名なイギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズ(1883~1946)の考え方に前段として触れておきたい、というのが今回の趣旨であり、そのためのキーワードとして「保守主義」という言葉を用いています。 伝統保守と経済保守 ウィキペディアの「保守」という項目には、下記の

    保守主義とケインズ主義
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2014/02/19
    2013-11-30 経済 コメントを書く 島倉原
  • ケインジアンによる財政政策無効論? ー 失われた20年の正体(その9)

    こんにちは、島倉原です。 今回は、アメリカ経済学者クリスティーナ・ローマーが書いた“What Ended the Great Depression?(何が大恐慌を終わらせたのか?)”という論文(1992年、以下「ローマ―論文」)を取り上げてみたいと思います。 ローマー論文は、前回(マネタリズムを検証する)取り上げた1929年から1933年までの「大収縮」期以降の経済回復局面を分析対象として「金融政策と財政政策はそれぞれどのくらい、経済回復に貢献したのか」の検証を試みた上で、「経済回復に貢献したのは金融政策であって、財政政策はほとんど効果が無かった」と結論付けています。 この論文はいわゆるリフレ派の重要な論拠の1つとなっているようで、岩田規久男編著「昭和恐慌の研究」第6章でも「大恐慌からの脱出要因として金融政策の変化こそが最も重要であったことを主張する」代表例として取り上げられているほか、

    ケインジアンによる財政政策無効論? ー 失われた20年の正体(その9)
  • ASREAD

    過日、浅草浅間神社会議室に於いてASREAD執筆者の30代前半の方を集め、座談会の席を設けました。今…

  • 「フリードマンは悪いけどハイエクは悪くない」という議論について

    はじめに 論文は、ある雑誌に載せていただくために、リーマンショック後の2009年に書いたものを再編集したものです。そのときは雑誌の廃刊のため日の目を見ることはなかったのですが、今読み返してみても基的な論理は通用すると思われるので、ここに掲載させていただくことにしました。 抑制と拘束の「最大」も「最小」も社会を不安定化させる 新自由主義と呼ばれるイデオロギーが行き着くところまで進んだとき、市場経済は大惨事に見舞われました。 新自由主義の崩壊後において、特に気になるのは保守派にみられる「フリードマンは悪いけどハイエクは悪くない」という意見です。リーマンショック後は『蟹工船』ブームなどが起き、マルクスの亡霊が復活したことへの対抗軸として、ハイエクが見直されていたという点を指摘できます。 確かにマルクス主義は、ハイエクの批判で理論的に論破されています。格差社会という現実における対応という点では

    「フリードマンは悪いけどハイエクは悪くない」という議論について
  • 1