本当の民主主義? 本書の主題からはそれてしまうでしょうが、民主主義と関係した議論に注目してみましょう。 ピケティは第11章で、民主主義社会が能力主義的な世界観に基づいていることを述べた上で、「本当の民主主義」について論じます。 本当の民主主義と社会正義には、市場制度や、議会など形式的民主主義的制度機関以外に、独自の制度が必要だ。 第15章では、「真に民主的」なる言葉を用いています。 真に民主的な論争は信頼できる統計なくしては始まらないのだ。 こういった見解に対し、ある種の民主主義者からは批判が出るかもしれません。例えば、「本当の民主主義」とか「真に民主的」とかの基準を、ピケティが勝手に設けているという批判です。素直に解釈するなら、ピケティは、今のアメリカなどは「本当の民主主義」ではないと言っているようにも読めてしまいます。信頼できる統計と言っても、その信頼性の判定には貴族主義的要素が関わっ
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