フランスの若き経済学者トマ・ピケティが、世界を揺るがす本『21世紀の資本論』(CAPITAL in the Twenty-First Century)を書いた。3月にハーバード大学出版から英訳版が刊行されると、たちまちアマゾンのベストセラーNO1になり、米国を中心に英語圏で45万(フランス語版は10万)も売れている。1867年に刊行されたマルクスの『資本論』はオリジナルのドイツ語版が5年かけて1000部が売れただけで、英訳版は20年後にでているから、ピケティの本の伝播スピードは21世紀現象ではある。 『21世紀の資本論』は富と所得の分配の不公平という、今日最も重要なテーマに取り組んだ本だ。ピケティとそのチームは、過去300年間の仏英米日独など20か国の膨大な税務データを15年かけて収集・分析し、格差の歴史的トレンドを明らかにしている。これはかつてない試みだ。データを分析したピケティは、今日