米国債市場のイールドカーブは2019年3月、短期の利回りの方が長期のものよりも高い「逆イールド」の状態に陥った。投資家の間では動揺が広がったが、この現象は株式市場にとって凶兆だと断言することはできない。市場には相場下落に先立って現れる重要な警戒シグナルがいくつかあるが、足元で赤信号を発しているのはこのイールドカーブの傾斜だけにとどまっている。 イールドカーブは国債利回りを償還期限に沿ってプロットしたもので、その傾きは長期国債と短期国債の利回り格差を反映している。投資家がイールドカーブを注視している理由は、過去7回の景気後退局面においては、いずれもその前にイールドカーブが逆転していたからだ。だが、逆イールドは景気後退が確実に訪れることを示す指標ではなく、必ずしも株式市場の大暴落を予告するものでもない(以前の記事 『Is Inversion Panic Justified?』(英語)ご参照)。