太平洋戦争を感情的に論じても意味がない 昨年、筆者はプレジデントオンラインに、「『なぜ日本は真珠湾攻撃を避けられなかったのか』そこにある不都合な真実」という記事で、日本の太平洋戦争の原因を進化政治学(evolutionary political science)の視点から論じた。 この論考では、多くの日本人が、太平洋戦争や日中戦争、あるいはそれに至る戦前の日本外交が「道徳的に間違っていた」と教えられてきたことを指摘した。歴史を道徳で論じるのは思考停止に他ならない。そうではなく、われわれはなぜ、いかにして任意の歴史的事象が起きたのかを客観的、理性的、科学的に考察する必要がある。 そこで本稿では「進化政治学」に依拠して、日中戦争がなぜエスカレーションしたのか、という歴史のパズルを解きほぐしてみたい。