竹内洋『教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化』 稲垣恭子『女学校と女学生 教養・たしなみ・モダン文化』 小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』 教養という文字を見るだけで、高ぶってくる。なにが高ぶるのか、それは、好奇心だ、といえば、なるほど格好良い気がする。しかし、あまり公にできないような、ドロドロした感情......いつのまにか溜まった澱のようなものも、高ぶりの中に同時に存在している。 しかし、触れてしまえば、たとえどのような人間であろうと受け入れてくれる。テキストは、著者からも離れて存在する。テキストと私。その交接の純粋さを愛している。中公新書は、その純粋さを保証する、信頼できるパッケージだ。 教養という言葉は憧憬の対象だったはずだが、なぜ、このように屈折した思いを抱くようになったのであろうか。私の青臭い内面をひもといてくれたのが『教養主義の没落』である。 日本の近代化とと