人体を目、耳、心臓、骨、消化管、血液など15のパーツにわけ、それぞれについてじっくりと語った本である。全320ページにわたって「とても 美しい」のような、装飾的な副詞や形容詞がほとんど使われていない稀有な本でもある。一文一語たりとも無駄はなく、したがって重複もないので、逐語的に理解しながら読み進める必要がある。結果的に収容されている薀蓄は膨大だが、文体は簡明にして明晰、超長編のスーパー人体エッセイとして楽しむことができるはずだ。 第1章は眼。日本語では生物学的な意味がない場合は「目」、ある場合は「眼」という漢字を使う、という前振りから、芽や亀など同じ「メ」音を含む漢字の成り立ち、「跡目を継ぐ」などさまざまな慣用句、自衛隊における「注目」という号令と英語での「Eye Front!」という号令の類似性、光明皇后の眼病全快を祈念して建てた新薬師寺の話など、文学系の本かと思わせるようなところから壮
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