「まず日本で成功しないことには,世界市場での成功はない」---。 「いや,最初から世界を目指さないと,世界市場では成功しない」---。 これは,2009年5月中旬に開催された「IT国際競争力研究会」(超ガラパゴス研究会)でのやり取りだ。少々乱暴かもしれないが,前者は通信事業者に根ざした発想,後者はコンピュータ業界や半導体業界では当たり前の発想と言い換えられる。 通信事業者は,国境の存在を強く意識する。基本的に各国の政府から事業免許を受け,まずは自国内のユーザーがサービスの対象だ。 一方,コンピュータ業界には,当初から世界市場を目指す企業が多い。彼らの行動指針は,たくさん売れば売れるだけ商品に占める開発費の割合は小さくなり,商品の価格は安くなる,という発想に基づいている。 “ガラパゴス化現象”の代名詞のように言われている日本の携帯電話は,通信業界の考えが支配的で,コンピュータ業界的な発想が欠
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