奥能登の避難所への救援物資配布が遅れている。地震と津波で甚大な被害を受けた珠洲市宝立町鵜飼・春日野。4日、つぶれた家屋と傾いた電柱で足の踏み場もない集落を歩くと、出会った男性が記者に訴えてきた。「救援物資が届かない。子どもが丸3日、何も食べとらん」。男性の頰を一筋の涙が伝った。(珠洲支局長・山本佳久) 見附島(みつけじま)がある宝立町鵜飼・春日野は沿岸部に木造住宅が密集している。1日の強い揺れで多くの民家が倒壊し、さらに津波が襲った。石川県が4日午前11時、新たに公表した珠洲市内の安否不明者のうち、8人が鵜飼・春日野の住人だ。 4日朝、割れた窓ガラスや瓦が散乱する通りを歩いていると、40~50代くらいの男性が突然、話し掛けてきた。「金沢からここまで道はつながっとるかね」。 珠洲道路は一般車両の通行を規制し、自衛隊や警察、救援物資を運ぶ車両を優先させていると聞く。そう伝えると、男性は気持ちが