世の中には、経済学や経済学者が嫌いだという人が多い。経済学が嫌いだという理由には、様々なものがあると思うが、中でも一番多いのが、経済学が世の中を損得勘定だけで考えているという点が嫌いだというものだろう。特に、損得の範囲が、いわゆる自分の利己的な損得だけで判断しているという考え方が嫌いなのだと思う。その次に、嫌われている理由は、経済学が想定する人間像が、非常に合理的で計算能力が高い人を想定している点であろう。計算能力が高く、合理的な判断をいつもしているというイメージが現実の人間とかけ離れているため、そのような人間像を想定する経済学の現実的妥当性に疑問を呈する理由となっている。合理性と高い計算能力については、すべての人がそのような能力をもっていると経済学者が考えているわけではなく、裁定取引の結果、市場経済で決定される価格に影響するのは、合理的に行動する人たちの行動が反映されていると考えるからだ
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