TBSラジオ『アフター6ジャンクション2』のコーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」。宇多丸が毎週ランダムに決まった映画を自腹で鑑賞して生放送で評論します。今週評論した映画は、『ルックバック』(2024年6月28日公開)です。ここからはその書き起こし【前編】をお送りします。(
この内容なら上映時間は50分前後でよかった。間違いなく山田尚子監督がこれまで作ってきた『けいおん!』から『リズと青い鳥』までに培ってきたものの総決算だし、また作家として次のステップへ進もうと表現の挑戦をしているのもわかる。映画館で観なくては体験できないシーンも多い。 しかし僕には上映時間101分がちょっと冗長に感じられた。ふと映画の途中で隣の席に座る短い髪の男を見るとウトウトとしていた。これは挑戦を生かしきれていなくて、『リズと青い鳥』でやったことからあまり前進できていないせいかもしれない。それなら挑戦したい部分を凝縮して短くまとめたほうがタイトな完成度になった(『ルックバック』が公開されたいま、80分を切るアニメート中心の中編アニメはやりやすくなりそうでもあるが)。 その挑戦とは何か。映画館で本編の前に『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』と『ふれる。』の予告編が流れたのだが、それらと『きみ
The pleasure and pain of creativity are both powerfully on display in “Look Back,” a new anime film based on an autobiographical manga by Tatsuki Fujimoto, best known for “Chainsaw Man.” The film is directed and adapted by Kiyotaka Oshiyama, who also did the character designs and reportedly drew over half the key animation frames himself. It’s dedication that paid off handsomely in this short yet
「ルックバック」が6月28日より劇場公開中。同作は2021年に「ジャンプ+」で公開され大きな話題となった、「チェンソーマン」で知られる藤本タツキの読み切り漫画を原作としたアニメ映画だ。 「ルックバック」 2024年6月28日(金)より全国公開 (C)藤本タツキ/集英社 (C)2024「ルックバック」製作委員会 その本予告が公開されたときも「原作の絵がそのまま動いている」ことなどに絶賛の声が相次いだが、本編の衝撃と感動はそれをはるかに上回っていた。「創作」にまつわる寓話としても、漫画のアニメ映画化作品としても、ひとつの到達点だった。 劇場アニメ「ルックバック」本予告 なお、本作の上映時間は58分(鑑賞料金は1700円均一)。だが、アニメのクオリティーと物語の密度が半端ではないため、その短さを感じさせない満足度がある。こだわりの演出の数々と、haruka nakamuraによる流麗な音楽を堪能
映画TOP 映画ニュース・読みもの ルックバック 映画『ルックバック』徹底レビュー!「悔しみノート」の梨うまいが、時を経てより多くの人に刺さる物語となった理由を熱く語る コラム 2024/6/29 18:30 映画『ルックバック』徹底レビュー!「悔しみノート」の梨うまいが、時を経てより多くの人に刺さる物語となった理由を熱く語る 「チェンソーマン」で知られる藤本タツキの同名漫画を、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(09)、『風立ちぬ』(13)などに主要スタッフとして携わった押山清高が監督、脚本、キャラクターデザインを務め劇場アニメ化した『ルックバック』(公開中)。学年新聞で4コマ漫画を連載し、クラスでもてはやされている小学4年生の藤野(河合優実)は、学年新聞に掲載された不登校の同級生、京本(吉田美月喜)の4コマ漫画の画力の高さに衝撃を受ける。そこから画力を上げるためすべてを投げうって絵を描き
大傑作。背中を見て/背中を見ろ。「背景」を見ろ。“Don’t Look Back In Anger”……他諸々。素晴らしかった。 併せて原作漫画発表時の感想等も。
『いつの時代もヒーローとは孤独なものである』 どこの誰が言ったかは分からないが、いつの間にかヒーローの常套句となっているフレーズだ。 2024年5月24日に公開となった劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』(以下、『劇場版ウマ娘』)の主人公、ジャングルポケットにもこの常套句が当てはまるだろう。少なくともこの記事を書いている筆者自身はそのように感じている。そして、この常套句そのものがジャングルポケットというウマ娘の不運を表しているとも。 ウマ娘─── 彼女たちは走るために生まれてきた 時に数奇で、時に輝かしい歴史を持つ別世界の名前とともに生まれ、 その魂を受け継いで走る───それが彼女たちの運命 この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にも分からない 彼女たちは走り続ける───瞳の先に在るゴールだけを目指して ~「ウマ娘」アニメシリーズより駿川たづなの前口上~ さて、『劇
なにか作品を見ても、「これは自分にとって関係のないことだな」と思ってしまう。ファンタジー、SF、お仕事もの……この世のあらゆるエンターテインメントは、人を気持ちよくさせるための娯楽装置として作られている。 だけど、そんな気持ちのいい作品を見るたび、心のどこかで「人生そんな上手くいかねーよ」と思ってしまう。だから、ずっと心のどこかで、なにもかもが「他人事」な気がしていた。あの主人公も、あの作品も、なにもかも自分にとっては無関係の出来事だった。 でも、『トラぺジウム』を見た時、あまりそう思えなかった。 この映画、端的に言うと「アイドルに焦がれて焦がれ続けた主人公が、なにもかも計算づくでアイドルグループを結成するものの、結局上手くいかず解散する」という内容になっている。極論を言うと、「アイドルを目指して志半ばで大失敗する映画」である。まぁ、とんでもない内容だと思う。 でも、この「上手くいかず解散
※本レビューには映画『オッペンハイマー』のストーリーや展開に触れる記述が含まれます。 カメラは人の心を写せないが、映画『オッペンハイマー』では少々勝手が違うようだ。なぜなら、この映画では「オッペンハイマーの心」が心象風景として視覚的に描かれるからである。その心的イメージは「宇宙の幻影」として火花が炸裂したり、粒子が回転するような抽象的な映像からはじまり、オッペンハイマーの苦悩が深まっていくにつれ、外界をも浸食し、“実際には見ていない”さまざまな光景を幻視しはじめる。 それはマンガの吹き出しや論文の注釈のようなものだ。我々は表情・台詞・状況に加えて「心的イメージ」を第四の手がかりとして、オッペンハイマーの心を推論していく。あるいはそこに何が描かれているのか、あるいは何が欠けているのかで、作り手であるクリストファー・ノーランの心(意図)も推論するだろう。 そして映画では、物語がどんどん進むにつ
現地時間3月10日に授賞式が開催される米アカデミー賞では、「原爆の父」の伝記映画『オッペンハイマー』が最多13部門にノミネートされた。さらに宮﨑駿監督の10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション部門に、全米で大ヒットとなった『ゴジラ-1.0』が視覚効果部門にノミネートされるなど、邦画作品の快進撃も話題だ。 第二次世界大戦が舞台という共通点を持つこの3作品について、ニューヨーク映画批評家協会の会員である筆者が、米紙「ニューヨーク・タイムズ」に寄せた映画評で興味深い論を展開している。 『ゴジラ-1.0』でこれほど泣くとは思わなかった。 評判を聞いたときは、鱗に覆われた怪獣のクールなアクションが痛快なスペクタクル映画を想像していた。だが本作は、壮大なアクションシーンに加え、第二次世界大戦終結からまもない世の悲嘆と、そこで生きる人たちの思索も描く。 『ゴジラ-1.0』モノクロ版の
熊が怖い 鶴見中尉も怖いがとにかく熊が怖い アニメのCG KUMASANでは感じなかった感情だ。熊が怖い 原作でもここまで怖かったか?と思う 最終回付近で突然熊出てきたときちょっと笑ってしまった気持ちを払拭させられて、やっぱ怖い 序盤は特に羆嵐の実写化見てんのかと思った 熊のシーンだけ演出が完全にホラーなんだよ 他のシーンで頭イカれてる杉元が熊だけはめっちゃ怖がってんのも怖い みんな大好き羆嵐。新雪に広がる真っ赤な血 原作もアニメも見たはずなのに新鮮に怖い 映像的に動物をよく描いたなとは思う なお捌くシーンは結構上手くぼかしてる どうも捌くシーン完璧にするとレーティングが上がるらしい ただアシㇼパが嬉々として内蔵をスクリーンに見せてくる。見せるな あと雪山も怖い 俳優が震えてるやつ演技じゃなくリアルですって言ってたのも怖い ていうか雪山で脱いでる役者怖い あとは日露戦争の二○三高地の戦闘シ
『ゴールデンカムイ』公式 @kamuy_movie 映画続編となるドラマシリーズが10/6(日)午後10時 #WOWOW 独占放送・配信決定! 出演 #山﨑賢人 #山田杏奈 #眞栄田郷敦 / #矢本悠馬 #玉木宏 #舘ひろし 他 原作「ゴールデンカムイ」#野田サトル(集英社「週刊ヤングジャンプ」) 脚本 #黒岩勉 監督 #久保茂昭 #片桐健滋 #落合賢 #佐藤洋輔 kamuy-movie.com 『ゴールデンカムイ』公式 @kamuy_movie ◤ ◢◤『#ゴールデンカムイ』 ◢◤ ◢◤ ついに本日公開ッ‼️◢◤ ◢ 𝗜𝗠𝗔𝗫も同日公開!!📽️ 北海道に隠された莫大な埋蔵金を巡る 三つ巴のサバイバル・バトル、開幕ッ💥 ━━ 果たすべき、使命はあるか ━━ 🔻上映劇場一覧 theater.toho.co.jp/toho_theaterli… pic.twitter.com/
『ゴジラ-1.0』90点(100点満点中) 23年/日本/125分 公開日:2023/11/03 配給:東宝 監督:山崎貴 出演:神木隆之介 浜辺美波 山田裕貴 ≪『シン・ゴジラ』を超える、タイムリーかつ熱いドラマ≫ ハリウッドとの間に大人の事情があるなどと言われるが、『シン・ゴジラ』から7年間も国産ゴジラ映画が作られなかった最大の理由は、あまりに『シン・ゴジラ』の評判が良すぎて、下手なものを作るわけにはいかなかった東宝サイドの責任感によるものだろう。 そして、それだけのことはあった。『ゴジラ-1.0』は『シン・ゴジラ』と比べても劣らない、むしろ部分的には上回るほどの映画作品であり、世界中のゴジラファンやハリウッド版のスタッフらに、日本の映画人の矜持を見せつけた恰好となっている。 戦後数年がたち、ようやく復興し始めた日本。特攻隊の生き残りである敷島浩一(神木隆之介)は、戦中の混乱の中で出会
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」が劇場公開中だ。 「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」ポスタービジュアル 先に言っておくと、本作には優れたポイントがたくさんある。タイトル通り超能力のバトルのアイデアは面白いし、テンポ良くギャグが展開するので小さなお子さんでも飽きないだろうし、思わずウルっときた場面もある。松坂桃李および空気階段の鈴木もぐらと水川かたまりの声の演技も見事だ。 “しん次元”という触れ込み通りの3DCGのアプローチに賛否はあるが、個人的にはとても良かったと思う。しんのすけを筆頭に3次元化が難しく思える造形のキャラそれぞれに違和感はなく、表情も含めてとても愛らしいし、立体的なアクションにも迫力がある。 そして、映画「モ
アオサギという鳥が好きだ。日本中で見ることのできる、とても身近な野鳥でありながら、大きな体をもち、翼を広げれば全長は1.5メートルにもなる。あまり人や外敵を恐れぬ泰然とした佇まいにも目を奪われる。目元から冠羽へとつながる濃紺の模様や、長い首を彩る斑点、くすんだ青灰色の色合い…。いわゆる「サギ」として連想する真っ白な羽のシラサギ(実はこれは種の名前ではなく、ダイサギ・チュウサギ・コサギらをまとめた通称なのだが)とは一線を画する、野性的な美をアオサギはその身にまとっている。 そのルックスに恥じず、アオサギの暮らしはワイルドだ。魚や虫や甲殻類だけでなく、時には同じ鳥類や小型哺乳類まで捕食する。「張り詰めた弓」のようにジッと動かないかと思えば、突如として矢のような瞬発がひらめく。長い首を素早くのばし、鋭いくちばしで獲物を捉えるのだ。堂々たる巨体の優雅さと、刃物のような攻撃性を兼ね備えたアオサギを眺
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く