博物館のような、モランディの絵のような。 「今ある本が2万冊。来月運び込む分が3万冊」図書館でも学校でもなく木造2階建て住居の話である。緑の山を背に立つその家を訪ねたら、嘘みたいな量の本が収まっていた。美術ライターの橋本麻里さんが文筆家の山本貴光さんと暮らすのは、その名も〈森の図書館〉。 「ハシモトが館長、ヤマモトが司書長。毎日のように本を買い、読んで書いて本棚を見ながら考えることが24時間続く」2人の新居だ。 古い書架が並ぶ閲覧室。「新しい本を入れたり並べ替えたり、庭師のように本棚をお手入れすることで、棚の景色は日々変わります」階段室も書棚が主役。右側は文庫サイズに合わせた造り付け棚、左は古い書架。ある意味、大雑把なグリッドが味わい深い景色を生む。木の枝が垂れ伸びる姿を模した屋根は、杉板を細かく集積させながら湾曲させた構造。大量の本に負けない木の密度で空間を包み込む。山本さんの書斎。図書