【ロンドン=佐藤昌宏】東西冷戦さなかの1983年、サッチャー英政権(当時)が、対ソ連戦を想定した図上演習の一環として、エリザベス女王による国民向け演説の草稿を作成していたことが1日、英公文書館が公開した機密文書で明らかになった。 79年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻後に急速に悪化した東西関係を反映したもので、核戦争を念頭に置いた内容となっている。 女王演説の草稿は83年3月4日付。「戦争の狂気が今一度、世界中に広がった。勇敢な我が国は再び、困難を切り抜ける準備をする必要がある」と「第3次世界大戦」への心構えを国民に説く内容になっている。また、「敵はライフル銃を持った歩兵や、上空を徘徊(はいかい)する空軍兵ではなく、科学技術を悪用した恐ろしい『力』だ」と核兵器の脅威に言及した。