懐かしい農村風景などを描き、朝日新聞日曜版の連載(1970~78)でも人気を集めた切り絵作家、滝平二郎(たきだいらじろう)(1921~2009)の下絵が、千葉県柏市の自宅兼アトリエから大量に見つかった。下絵は制作時に切り抜かれるため、通常は残らない。鉛筆描きの繊細な線からは、詩情豊かな切り絵の創作過程が浮かび上がる。 ■作品の写真はこちらから 滝平の長男でグラフィックデザイナーの加根(かね)さん(49)が1月、アトリエに残された資料の中から約50点を見つけた。 滝平の切り絵は墨で染めた和紙の上に下絵を重ね、下絵の線に沿ってカッターナイフで切り抜いていく。切り抜いた和紙を台紙に貼り付け、完成させる。 「一回勝負」の切り抜きに失敗したら下絵からやり直し。締め切り前の重圧を見かねた加根さんが83年ごろ、複写機で下絵をコピーするよう勧めたという。滝平は助言を聞き入れ、コピーを取った一部の下絵が残さ