■死との向き合い方を問う 外国で亡くなった方の遺体や遺骨を祖国へ搬送する仕事がある。その国内初の専門会社、エアハース・インターナショナルの人々の奮闘を追った第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。昨年11月の刊行以降、着実に読者を増やしている。 「国際霊柩(れいきゅう)送還」は同社の登録商標。海外で亡くなった日本人、日本で亡くなった外国人の送還に必要な手続きを行い、防腐処理や化粧を施して遺族の元に送り届ける。本書はなかなか表に出ないその職業の内実を教えると同時に、死との向き合い方を我々に問いかける。 重いテーマだが「読後感は悪くない」という声が多い。おそらく、豪傑で懐が深い社長の木村利惠さんの存在によるところが大きいだろう。著者が初めて取材を申し込んだ時は「あなたに遺族の気持ちがわかるんですか」とぴしゃりと拒絶。社員にも厳しいが遺体には繊細な気遣いと敬意を見せる。遺族に安易な慰めの言葉はか
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