昨今の日本社会が慇懃無礼化しているのではないかということを、東京電力の「ご被害者のみなさまへ」という言葉遣いを例に挙げて以前このコラムで考察した。 そこでは、東電を批判するだけが目的ではなく、いまの日本社会でつかわれる言葉が、やさしさを失っている社会の実態をカモフラージュするように、逆にますます形式的になっていると感じたので、その視点から論を展開してみた。 読者からも「いつからか慇懃無礼な社会になってきたようだ」という反応をいただいた。 言葉は時代とともに変わるし、敬語や日本語の本来の使われ方が誤用されていくのも当然である。だからそれをことさらあげつらうつもりはない。ただ、言葉は社会の鏡であることを考えれば、気になる言葉のつかわれ方のなかには、いまの社会を反映しているものがある。 歪んだ社会の実態を表す言葉の乱れ そして、それが社会の好ましい変化や実態を反映しているのならほほえましいのだが