ものづくりの町として知られる大阪府東大阪市で、町工場が立ち並ぶ地域の住宅建設に“待った”をかける異例の条例が10月に本格施行される。撤退した工場跡地にマンションなどが建った結果、住民の苦情で既存工場の操業が妨げられるトラブルを未然に防ぐ狙いだ。他の企業城下町でも同様のトラブルは増えており、ものづくり振興と住環境の両立を図る取り組みとして注目される。 地下鉄とJRの最寄り駅から徒歩10分。印刷所や鉄工所など、昔ながらの町工場がならぶ東大阪市高井田中の一角に、数十軒の真新しい西洋風の戸建て住宅が立ち並ぶ。いずれも数年前、工場が撤退した跡地に建てられものだ。 ある住民から「一日中、嫌なにおいがする。近くの塗料工場から出ているのではないか」と同市に苦情が寄せられた。調査の結果、原因は塗料工場ではなく、さまざまな工場の稼働に伴うものづくり地域特有のにおいだと判明した。こうした転入住民からの苦情により