◇「権利回復」の指摘も 未成年の姉妹に対する準強姦・強制わいせつ等事件で、富山地裁が妹(当時10歳11カ月)が幼く告訴能力がないとして、起訴された強制わいせつ事件2件のうち1件の起訴を無効とする公訴棄却判決を言い渡した。小学5年生は、自らが受けた性犯罪の被害を理解できないほど幼いのか。「悔しい」「許せない」といった訴えは司法に届かないのか。控訴審が始まる前にこの事件について振り返り、問題点がなかったか検証したい。【大森治幸】 ◆捜査のはじまり 昨年6月初旬。富山中央署に1本の電話がかかってきた。電話口の向こうにいたのはある学校の教師だった。「生徒が暴行を受け、施設で保護されている」。姉(当時15歳)が通っている学校からの情報提供だった。「当時は地獄だった」。姉妹がそう振り返る悪夢に捜査のメスが向けられた瞬間だった。 同署は6月30日、住所不定、無職、田中実被告(42)と、その交際相手の女(