吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ) 著者:井上 智勝 出版社:講談社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 吉田神道の四百年 神と葵の近世史 [著]井上智勝 まさに吉田神道を主軸に据えた神道各派の「仁義なき戦い」である。 きっかけは、応仁の乱にともなう社会の混乱を利して、日本中の神を統率する「神使いの覇者」を目指した吉田兼倶(かねとも)の野望にあった。この人、社会と人心の荒廃に嫌気のさした伊勢のご神体が「神宮を抜け出して吉田神社の斎場所に飛び移ってきた」と称し、伊勢の権威を奪い取ってしまう。また神道界のトップ神祇(じんぎ)伯・白川家と同等の肩書を創設し、神位・神職の位階を授与する権限を掌握する。 仕上げに、吉田神道は死んだ家康を神に格上げする寸前まで行くのだが、当時ローカルな神道だった「山王一実神道」での祭祀(さいし)を推す天海僧正に阻まれる。 正一位の位階を分霊とセット