社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動 著者:山口 智美 出版社:勁草書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 社会運動の戸惑い [著]山口智美・斉藤正美・荻上チキ 1990年代半ばに登場した「ジェンダーフリー」という言葉は、フェミニストによって政治化され、99年の男女共同参画社会基本法成立を牽引(けんいん)した。しかし、自治体による条例づくりの過程で、保守派の反対運動が顕在化する。彼らは「ジェンダーの解消」を極端な思想と認識し、批判を展開した。本書は、2000年代のフェミニストと草の根保守の対立過程を詳細に描く。 問題は、ジェンダーフリーという言葉の輸入プロセスに端を発する。日本のフェミニストは、米国の教育学者ヒューストンの提唱する概念として流用したが、彼女はジェンダーフリーを不適切なアプローチと主張していた。この誤読とミスリーディングが、保守派の反発を喚起する。