梅棹忠夫 「知の探検家」の思想と生涯 (中公新書) 著者:山本 紀夫 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 梅棹忠夫―「知の探検家」の思想と生涯 [著]山本紀夫 かつて梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』や『知的生産の技術』を熟読した一人である。前著の、西欧と日本を「第一地域」として括(くく)る押さえ方にはかすかな違和を覚えつつ、ともに知的な刺激に満ちた本だった。 本書は、梅棹の仕事と生涯を追った評伝である。著者は、大学探検部や国立民族学博物館で梅棹に至近距離で接した「最後の弟子」。それ故でもあろう、梅棹の志向と思考に目線がよく届いている。 梅棹の最後の著は『山をたのしむ』。少年期、京都の北山に親しんだ。「登山が生涯の原点」と記す。「学術探検」を掲げ、ポンペイ島へ、大興安嶺へ、モンゴルの草原へとフィールドを広げていく。細密画を見るようなスケッチが印象的だ。生来「歩き、見て、考