日本学術会議(会長・大西隆東京大教授)は30日、科学研究の成果が本来の目的を外れてテロなどに悪用されるのを防ぐため、科学者らが対処する規範を策定し、公表した。 昨年後半に鳥インフルエンザウイルスの研究論文の科学誌への掲載が、生物テロへの悪用が懸念され見合わされたことも踏まえ、同会議は内容を検討してきた。 科学の成果が社会の役にも立つ一方で、脅威にもなりうることは「デュアル・ユース」と呼ばれる。 規範では、科学者や技術者に、成果を悪用される危険性を自覚するよう促した。論文の公表を見合わせるような過剰な防御策は避け、研究の透明性を確保するようにも求めた。公表しないことが、かえって成果の悪用につながりかねないため、としている。