最近の若い者は、なっとらん! という人もいるかもしれないが、寺社仏閣の前を通り過ぎる時に、黙礼をしてゆく若者が増えている。 では、彼らは黙礼している寺社の御本尊や御祭神を知っているかというと、そうではない。聞くと、パワー・スポットだからというだけである。たしかに、軽薄な印象も受けるが、私は最近、それはそれでよいと思うようになった。つまり、大切なのは、場所なのだ。日本の神々は、その場に宿りたまうのであり、その場所に行くことが、大切なのだ。 平成の大遷宮でにぎわう出雲大社。一般向けに書かれた学術論集は、7世紀から続く祭祀(さいし)の伝統と、それ以前の祭祀遺跡を、わかりやすく教えてくれる(千家和比古・松本岩雄編『出雲大社 日本の神祭りの源流』柊風舎)。 神祭りをするたびに、場所を選んで祭りごとを行った時代から、人びとは巨大な神殿を造ることに、熱中してゆくことになる。なぜ、出雲の人びとは巨大な神殿