漂流老人ホームレス社会 [著]森川すいめい 新宿西口にずらりと並ぶ段ボールハウスが話題になった時期があった。都内の大きな公園に、ブルーシートをテントのように使って暮らす人々がいた。公園から排除された後は、河川敷などで暮らしている人を見かける。なかには互いに助け合い、電化製品も使いこなして自由な生活をしている人もいるらしい。しかし、本書でとりあげられているのは、孤立し、もっとも弱い立場にいる人々だ。認知症、アルコール依存症、知的障がい、統合失調症……。自分の状態が把握できなくなっている人々に声をかけ、医療や福祉の現場に結びつけ、どこでどんなふうに暮らしたいかという、人間として当たり前の希望を口にできるように辛抱強く促していく。本書は、池袋でそのような活動をしているNPOの代表者が、活動の実態と、あるべき支援の形を伝えるために記したものだ。 統計上は、ホームレスの数は減っているのだという。しか