家に人を呼ぶのが苦手だ。場所、広さ、明かり、家電、家具、雑貨。他人にとって大事な多くの物事が私の部屋には欠落している。代わりに、本しかない。きっと皆にはつまらない家だと思う。家に来て嫌な感情を覚えて欲しくないので呼びたくない。 けれども、言葉を通じて仲良くなった人には本を読みに来て欲しい。漫画によくある、陰気な登場人物が、図書館通いをきっかけに出来た友達を家に誘うシーンのようなもの。コレクションを自慢したいというよりは、ただ仲良くなりたいと思って提案している。貴方ならちゃんとした友達になれる気がして。 本くらいしか楽しみのない部屋へ来ても退屈しないでいてくれそうな存在は、「我々」みたいな人間にとっては稀有なのだ。なんで貴方は私を受け入れてくれるのだろう?それなら私は貴方を大事にしたい。もっと心を開きたい。言葉が私を救ってくれるんだと打ち明けたい。 そうだ、うちへ本を読みにおいでよ。 今週の