私はいろんな花粉とハウスダストのアレルギーを持っているので、一年中鼻をぐずぐずいわせている。将来を左右する面接の最中でも、大勢を前にしたプレゼンテーションの山場でも、すてきな男の人とはじめてデートするときでも。しかも汗っかきなので、いわば二重苦だ。鼻炎でも汗っかきでも、べつに死なない。深刻な苦痛もない。単に格好悪いだけだ。 でもそれってつらいよ、しょうがないからいつでもどこでも鼻かんじゃうんだけどさあ、と私は言った。彼はたいへんセンシティブな腸を持っているから、きっとわかってくれるだろうと思ったのだ。案の定、彼は、 「わかるよ。とてもつらい。人に相談しても笑われるだけだし、しかも解決しない。思春期には親を呪った」 と言った。 「なにしろデートってやたらと腹にものを入れるじゃないか。大人になったらデートイコールめし、といってもいい。つまりなんというか、前半戦としてはね。しかも長い。頻繁に席を