2009年04月25日20:23 カテゴリ将棋本 「観る」という行為は実は恐ろしく深いのだー梅田望夫「シリコンバレーから将棋を観る」 クルーゾー警部でおなじみのピーター・セラーズは、晩年に「チャンス」という不思議な映画を残した。知的障害をもつ「チャンス」は、ある富豪の大邸宅に庭師として住みこみ、一度も屋敷の外に出ることなく暮らしている。しかし、主人の死とともに追い出され、初めて外の世界に飛びだす。全く疑いを知らない静謐な人柄に人々はひきつけられ、誤解は誤解は招き、ついには大統領候補にまでなりかけるというコメディである。 チャンスの唯一の趣味はテレビを「観る」ことだ。外部の世界の騒ぎに巻き込まれることは決してない。屋敷の外に出ても、周りの人々や世界の喧騒をひたすら静かにテレビを観る様に見守り続ける。その落ち着きがますます人々を感心させる。本当は知的障害で、ただテレビを観る様に世界を観ているだ