米南部アラバマ州で来年1月、窒素吸入による死刑執行が実施される見通しとなった。英医学誌は世界初としている。米国の死刑で40年以上使われる薬物注射は失敗が相次ぎ、死刑囚が苦しむ事例が発生したためだ。擁護派は窒素吸入なら苦痛がないと主張するが「根拠はなく情報開示も不十分だ」との批判も出ている。 米国で薬物注射による死刑執行が始まったのは1982年。鎮静剤と筋弛緩(しかん)剤、心臓を止める薬を注射するのが一般的だ。だが製薬会社は製品が死刑に使われるのを嫌い、流通を制限。注射の担当官の技術が未熟で失敗する事例も起きている。 昨年11月にはアラバマ州で殺人罪で有罪となった50代のスミス死刑囚が寝台に数時間固定され、何カ所も針を刺されて著しい苦痛を経験。再び薬物注射による死刑執行をしないことなどを求めて訴訟を起こし、「問題を避ける現実的な手段は窒素吸入だ」と主張した。(共同)