今年の元旦、ロシアのウラジオストクで、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の男性が焼身自殺を図り、死亡する事件が発生した。この男性は北朝鮮から派遣された労働者で、自宅からは、「生活が苦しく疲れた。誰も恨んではいない」などと書かれた遺書が発見されている。 これまで北朝鮮は、密接な関係を持つロシア、中国を中心に、アジア、中東、アフリカ、欧州諸国などに、多数の労働者を派遣してきた。彼らの職種は、林業、鉱業、建設業をはじめ、多岐に渡る。こういった動きは、核開発に端を発する経済制裁をかいくぐり、外貨を獲得するためのものと見られている。海外に派遣された北朝鮮労働者数は、10万人以上とも見積もられ、なかでもロシアでは約5万人が働いているとの報告もある。その労働環境はかなり劣悪で、給料のほとんどは北朝鮮に没収され、手取りは120~150ドル、労働時間は1日20時間に及ぶこともあり、休日はほぼ皆無だ。十分