佐賀県公文書館が4月に開館したことを受け、公文書管理について考えるセミナー(県など主催)が17日、佐賀市で開かれた。大宮法科大学院大学(埼玉県)の早川和宏准教授は首長、行政の視点ではなく、住民が主体となって管理体制を整える重要性を強調した。 早川准教授は「書類は事業完了や人事異動で不用になる」と、公務員が考えがちな点を指摘。「文書は県民の共有財産。市民生活への影響、歴史的な価値など長期的な視点を大事にしてほしい」と述べ、公文書の保存・廃棄基準を条例に盛り込むよう提言した。 公文書館は住民の知る権利に応えるとともに、過ちを後世に引き継ぐ役割があることも強調。「過去を分断すればゼロ以下になってしまう。失敗に学ぶことで次に進める。行政にとって嫌な事実もしっかり残してほしい」と話した。 セミナーは、県や市町の関係者ら約90人が聴講した。