「リットン報告書」に批判的な海外論調が少なくなかった 前回の記事で、一九三二年十月一日に「リットン報告書」が国際連盟に提出され、わが国はその内容を不服として意見書を提出したのだが、満州事変以降の日支紛争について国連総会が開かれることが決定すると、総会で「日本の満州国承認の即時取消を要請する」決議を通過させようと多数派工作を仕掛ける国が出てきたことを書いた。国連の総会決議は大国も小国も均しく一票であり、総会でこの決議に持ち込まれると厄介なことになることは言うまでもない。 「神戸大学新聞記事文庫」外交120-8 話が前後して恐縮だが、「リットン報告書」について海外でも主要国の新聞で、明らかに支那にとって有利な内容であることが指摘されていた。十月四日付の大阪朝日新聞には次のように報じている。 【連合ロンドン三日発】リットン報告書に関しデーリー・メール紙は報告書を手ひどくこき降ろし、左の如く痛論し