九州北部で激化する暴力団による発砲事件。抗争、企業テロに続き、4月には北九州市で福岡県警の元警部が銃撃され、重傷を負った。全国で暴力団排除条例が施行され、さらに警察庁が九州地区の暴力団の封じ込めを狙って暴対法の改正を目指している中での凶行だった。警察への敵対心をむき出しにする九州の暴力団に対し、山口組(神戸市)など他の指定暴力団は複雑だ。やくざ全体の締め付けにつながると警戒感を示す一方、「九州を見習うべきだ」と話す暴力団員も増えているという。 ◆警察への挑戦状 4月19日午前7時。北九州市の住宅街でフルフェースのヘルメットをかぶった男が拳銃の引き金を引いた。銃声が響き渡ると同時に広石保雄さん(61)の腰と足に血が広がった。 広石さんは30年以上暴力団捜査に携わってきた元刑事。捜査関係者によると、暴力団に毅然(きぜん)とした態度で接するマル暴刑事だったという。県警幹部は「警察への挑戦状だ」と