1930年に竣工したクライスラー・ビルディングの最上部尖塔は、ステンレス鋼板で覆われている。世界で初めてビル外装に大量のステンレス鋼を使用した歴史的建造物。 ステンレス鋼とはクロムを含み耐食性の高い鋼の一種である。ステンレス鋼の歴史(ステンレスこうのれきし)は、ステンレス鋼の必須元素であるクロムの発見にさかのぼる。 1761年、シベリアの鉱山で赤みがかかったオレンジ色の新種の鉱石が発見された。フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランがその鉱石を分析し、1797年に未知の金属を発見し、クロムと名付けた。その後、1820年代、イギリスの合金鋼研究を経て、フランスのピエール・ベルチェがクロム・鉄合金の研究を行った。ベルチェは初のフェロクロムを作製し、作製したクロム鋼は切れ味に優れることなどを報告した。その後もクロム・鉄合金の研究報告は散発するが、19世紀中に現在認められているようなステンレス鋼の発見