9. プロペラ・キャビテーション 船のスクリュープロペラは、プロペラ翼に働く揚力を利用して非常に効率よく推進力を発生させますが、同時にキャビテーション現象に十分注意する必要があります。 キャビテーション現象とは空洞現象とも呼ばれ、水の中に気体の泡が発生する現象です。水には蒸気圧という、液体から気体に変化する圧力があります。この蒸気圧は、物質によって決まっている物性値で、水の場合には100°Cでほぼ1気圧となり、温度が下がると小さくなる特性があります。地上で水が100°Cで沸騰するのは蒸気圧に達したからで、やかんや鍋で水を熱するとぼこぼこと蒸気が発生します。気圧が低い高山では100°Cより低い温度で沸騰がはじまります。 これと物理的には同じ現象が、船のプロペラでも発生します。それは高速で回転するプロペラの翼の先端付近で流速が非常に速くなり、ベルヌーイの法則からも分かるように流速が速い分だけ圧