○ここ数年欧米諸国や日本など、先進国での携帯電話加入者数はほぼ横ばいとなる一方で、中国やアジア、アフリカなどの新興国では大きな伸びを見せている。その普及のスピードや既存の固定電話網との関係において、先進国とは異なるインパクトを市場に与えている。 ○加入者数だけでなく収益にまで目を向けると、先進国間でも異なる市場の様相が数字で見えてくる。連載の最初にあたり、おおまかな世界観を把握するために、まず世界全体の簡単な統計を見ながら、携帯電話がどのように変遷してきたのかをおさらいしてみよう。 1-1. 先進国のぜいたく品から世界の普及品へ 十年一日という言葉があるが、携帯電話の世界ほど、この言葉の当てはまらないところもないだろう。筆者が約20年前にNTTに入社した頃、もちろんドコモは分離されておらず、「携帯電話」はまだなく、アナログの「自動車電話」は「特殊な」世界の人しか使わない代物であった。アメリ