今回は久しぶりに、セガ時代の昔話でもする事にしよう。 あれは1993年頃の事だったろうか。まだ私が1研(当時)の企画課に所属して、アーケードゲームを作っていた頃の事だ。以前にも書いたが、私は喫煙室に筆記用具一式を持ち込んで仕事をするのが当たり前な程の不良社員だったので、喫煙室に出入りする人間とは部署を越えて仲良くなっていたものだった。 そんな「喫煙室メンバー」の一人に、隣の部署、すなわち鈴木裕さんの下にいる若手企画マンがいた。私より1年後輩で、「企画を必要としない超プログラマ集団」と噂されていた裕さんの部署に、初めて企画として採用された切れ者――のはずなのだが、見た感じはそんな雰囲気を微塵も感じさせない、タレ目で感じの良い、悪く云えば要領の良さそうな若者だった。彼は煙草は喫わないのだが、喫煙室で日夜交わされるフリートーク(という名の「バカ話」)に参加するため、休憩の度に訪れていたのだろう。