2007.04.16 続き (4) カテゴリ:文学その他 M17星雲の光と影さんのところで知ったのだが、「『自分の木』の下で」という若い人向けに書かれた大江のエッセイ集の中に次のような一節がある。 私は、もう学校には行かないつもりでした。森のなかでひとり、植物図鑑から樹木の名前と性質を勉強すれば、大人になっても生活できるのです。一方、学校に行っても、私が心から面白いと思う樹木のことに興味を持って、話し相手になってくれる先生も、生徒仲間もいないことはわかっていました。どうしてその学校に行って、大人になっての生活とは関係のなさそうなことを勉強しなければならないのでしょう。 (中略) 私は自分にもおかしく感じるほど、ゆっくりした小さな声を出してたずねました。 ――お母さん、僕は死ぬのだろうか? ――私は、あなたが死なないと思います。死なないようにねがっています。 ――お医者さんが、この子は死ぬだ