話題の新刊を読みました。 アメリカの政治学者で、日本でも「ハーバード白熱教室」や著作『これからの「正義」の話をしよう──いまを生き延びるための哲学』等で広く知られるマイケル・ J・サンデル氏が、2020年に発表した“The Tyranny of Merit”の邦訳です。 実力も運のうち 能力主義は正義か? 作者:マイケル サンデル 発売日: 2021/04/14 メディア: Kindle版 本書では、前近代的なアリストクラシー(貴族制)よりも望ましいとされてきたメリトクラシー(能力主義)が、どのようにして社会に浸透し人々を縛り、それにどのような作用と副作用があり、今いかなる弊害が顕在化していて、私たちはそれをどう乗り越えていくべきかが論じられます。 個人的には、驚きに満ちた事実のオンパレード!という内容ではありませんでした。人生において様々な運に恵まれてきた自覚と、自分の中に明らかに根ざし