男女問わず、メロい人がいないと物語はハッピーエンドあるいはそれが信じられるような後味のいい終わり方をしないなと思う。主人公がメロいこともあるし、そうでない人がメロいこともある。 『BUTTER』で言えば、篠井さんは確実にメロい。週刊誌の記者をしている主人公・里佳の勤務先よりも大きなメディアの会社にいて、貴重なネタを流してくれる「客」。別れた妻についていった娘が一人いるバツイチの年上男性。 わざとではないし、急いで離したら後ろめたい既成事実になる気がして、里佳は胸を寄せたまま歩き出す。篠井さんの硬い二の腕を受けて自分の乳房は柔らかくつぶれ、バターが溶けるように真横に広がる。篠井さんてどこに住んでいるんですか?と尋ねたら、水道橋だよ、という答えが返ってきた。 「あの、全然どうでもいいんですけど、好きな食べ物ってなんですか」 「カステラかな。最近、セブンイレブンの袋入りのやつが美味しいって気づい
