(2012年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 金融ジャーナリストであることは、浴槽の中で石けんを追いかけるのに似ていると感じることがよくある。時に我々は興味をそそる噂を耳にし、何かおかしなことが起きていると思いながら金融の暗部をのぞき込んでみる。 だが、大抵の場合、確かな証拠や引用できる情報源がないため、あるいは金融業界の強力な広報担当者が我々の面前で名誉棄損法を振りかざすために、「ニュース記事」という獲物を逃してしまう。 5年前から疑惑が持たれていたLIBORの設定方法 ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のような銀行間の貸出金利は、典型例だ。筆者は5年前、LIBORや東京銀行間取引金利(TIBOR)、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の世界でおかしなことが起きているという話を初めて耳にした。 そこで筆者は然るべく、LIBORの正確性について一般的な懸念を表明するコラムを書