5月に刊行されたリチャード・パワーズの長篇小説『囚人のジレンマ』が、二カ月経った現在も、好評のうちに迎えられています。 「9.11以降も相変わらず〈囚人のジレンマ〉を突きつけられている世界状況を直視するとき、この小説が提示する想像力は大いに役に立つ」(越川芳明氏評、「日本経済新聞」7月1日) 「人間のエゴをめぐる問題を通奏低音のように響かせながら、時空を越えて絡まりあう複数の物語が絶妙のハーモニーを奏でている」(西田英恵氏評、「coyote」7月号) 「個々人がどのように世界にコミットしていけばいいのかという大テーマを、家族小説という小さなフレームの中に描いて感動的」(豊崎由美氏評、「本の雑誌」8月号) ――など、本書のテーマを深く受け止めた書評にも恵まれ、順調に版を重ねております。 刊行直後の6月には、立川のオリオン書房ノルテ店にて本書訳者の一人、柴田元幸氏によるトークイベントが、また池
第60回:中原 昌也さん (ナカハラ・マサヤ) 非常に個性的かつ魅惑的な作風で、読者を奇妙な感覚に誘ってくれる中原昌也さん。小学校時代のSF好きに始まり、実に幅広い読書歴の持ち主。音楽活動でも実績を持ち、映画にも精通している彼は、どんな本を好んできたのか。そして、そんな彼の目から見た、今の文学とは? 忌憚ない、生の声を聞かせてくれています。 (プロフィール) 1970年生。2001年『あらゆる場所に花束が……』で第十四回三島由紀夫賞を受賞。著書に『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』『名もなき孤児たちの墓』など。 『宇宙戦争』 H.G. ウェルズ(著) 東京創元社 630円(税込) >> Amazon.co.jp >> 本やタウン 『ひまつぶし』 クロード・クロッツ(著) ハヤカワ文庫 357円(税込) ※絶版 >> Amazon.co.jp 『SFベスト・オブ・ベスト(上・下)』 ジ
第6回フランツ・カフカ賞(フランツ・カフカ協会主催)を受賞した作家村上春樹さん(57)が10月30日、プラハ市で開かれた贈呈式や会見に出席した。公の場に出ることが少なく、「本当に現れるのか?」と関係者の気をもませたが、現地では「もっとも好きな作家のひとり」というカフカへの思いを率直に語った。 贈呈式に先立ち、地元出版社の主催で、記者会見が開かれた。チェコでは『海辺のカフカ』が出版されたばかり。会見場所となったホテルの一室は50人以上の地元メディアが詰めかける関心の高さで、プラハを初めて訪れた村上さんを驚かせた。 「『海辺のカフカ』では15歳の少年を書きたかった。僕が初めてカフカを読んだのが15の時だったから、主人公にカフカという名前をつけた。その意味で、この本はカフカへのオマージュといえます」 なぜ主人公の名が「カフカ」なのか、と問われての答えだ。カフカ少年は15歳にして「変身」「審判」「
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