強制わいせつ罪の公判は、満員電車で男性が女性にわいせつ行為に及ぶケースがほとんどだ。だが、この日傍聴したのは、公衆トイレで男性が男性にわいせつ行為に及んだというものだった。 強制わいせつの罪に問われた男性被告(62)の初公判が9日、東京地裁で開かれた。 被告は保釈されており、傍聴人と同じ入口から入ってきて、被告人席に座った。白っぽいカットソーにベージュのパンツという格好で、裁判が始まるのを大人しく待っていた。物静かな印象だった。 起訴状によると、被告は平成20年5月5日午後10時10分ごろ、東京都墨田区の公衆便所内で、小便器で用を足していた男性(36)の局部を手でつかみ、もてあそんだ。罪状認否で被告は起訴事実を認めた。 検察官が起訴状を読み上げると、傍聴席では驚きの表情で左右を見渡す光景が見られた。強制わいせつ罪で加害者も被害者も男性というのは異例だ。最終弁論で弁護人も「電車の(痴漢)事件