媒体:白田の情報法研究報告(2006年12月8日公開) 著者:白田秀彰(法政大学社会学部助教授) Abstract 知的財産権の強弱とその是非を巡る論争において、権利者と利用者の間の利益配分の社会的・経済的妥当性が論点になりがちである。本論では、知的財産制度が、議会制民主主義政体と自由市場経済体制に緊密に結合していることを指摘し、知的財産制度がそれら政体と体制の公正さfairnessを担保する背景的環境であることを確認する。 ここから論争点となるべきは、利益配分の妥当性ではなく、知識や情報の流通を支える制度としての知的財産制度の副作用である排他的独占、すなわち情報や知識への制御支配controlの強弱の問題であることを主張する。 上記の論点から見た場合、すでに情報や知識への制御支配は、法的保護と情報技術との結合によって危険な段階にまで強化されており、これを看過するならば議会制民主主義と自由