記事一覧 『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』東浩紀編 観光地化される悲劇の舞台 (2013年8月5日午前11時07分) この本はその名の通り、旅行ガイドでもある。27年前に原発事故を起こしたチェルノブイリが、今、観光地として注目を集め始めている。そこに行ってきましたというリポートと、みなさんも行ってみましょうという提案が中心だ。 いまだ廃炉作業すら始まっていない4号炉や、事故当時のままの制御室、強制避難によって打ち捨てられた街……それらは我々がイメージする悲劇の舞台チェルノブイリにふさわしい光景だ。しかし、同時にそこは今もウクライナにとって重要な送電施設であり、多くの人が毎日働きにやってくる仕事場でもある。また法令を破り立入禁止区域内に自主帰還した「サマショール」と呼ばれる人々もいる。問題は解決していないけれど、進行形の日常がそこにはあるということがよく分かる。 なぜこの本が