「フィラデルフィア・ファッション」からアメリカの「ファッション」へ ここまで見てきたように、ファッション・ジャーナリズムの成立はモードの中心地パリや産業革命の発生地であるイギリスがリードしてきた。とはいうものの、現代においてはアメリカがその中心にあることは否定できない。ゆえに、ここからはアメリカがファッション・ジャーナリズムの中心地となった経緯を解き明かしていくことも目的の一つとなっていく。そのためにもまずは、アメリカにおけるファッション誌の成立をたどってみることにしよう。 アメリカではイギリスの植民地だった17世紀末から新聞が発達し、1775年に始まる独立戦争時には重要な言論のツールとして威信を獲得していた。そういった事情もあってか、19世紀には政治的言論と文化的な情報の発信経路はある程度離れて発展していったと見ることができる。言い換えれば、アメリカでファッション・ジャーナリズムの萌芽が