柵の中の温室に、バラ園がありました。 そこには、綺麗なバラが咲いていて心が和みます。 薔薇好き*1の人は入園料を払って鑑賞し、そうでない人は近くを通るついでに外から眺めていきます。 そこにある男が通りかかりました。 「入園料を取るなんてあってはならん。美しさを私有する権利があろうか。野に咲く薔薇を愛でるのに対価を払う人などいるだろうか」 と憤慨します。その声を神が聞きつけました。 「では、既得権を守る柵を取り払ってやろう」 神が雷を落とすと、柵やガラスの壁は消えて無くなりました。 これで、誰でも鑑賞できるようになりました。 冬の寒空の下、枯れ果てた薔薇の枯れ枝を。 「もともと、日本に薔薇なんて自生していなかった。薔薇が咲くほうが不自然なんだ」 男は満足そうです。 「だいたい、関東平野だって、もともと葦野原の湿地だったじゃないか。そのほうが自然だ」 次の願いは決まったようです。 *1:と書く