香港、ウイグルといった周辺地域を飲み込み、急激な膨張を遂げている中国。そうした動きの背後には、いくつかのイデオロギーが隠されているという。『ハロー、ユーラシア 21世紀「中華」圏の政治思想』(講談社)を上梓した、文芸評論家で立教大学准教授の福嶋亮大氏がその実態を解説する。 強権をむきだしにする中国 未来予測は常に難しいが、中国とその周辺はその最たるものである。2010年代以降、香港の自治は急速に失われ、ついに2020年の国家安全法の施行に到ったが、このような急変を予想できた学者やジャーナリストはいるだろうか。返還から50年の節目である「2047年」に香港の自治が守られるかどうかは、以前からしきりに問題になっていたが、事態はそれほどのんびりとは進まなかったのである。 イギリス統治時代の最後の香港総督であったクリス・パッテンは、近年のインタビューで「雪は解け始めると、あっという間に解けてしまう
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