「身体は着実に年を取り衰えていくのに、人生の老成の仕方がわからない。」 本書は、そのような苦悩のあり方を「若作りうつ」と名付け、その原因となっている社会的背景を分析し、そのひとつの処方箋を提示している。 このような問題を抱えている社会的階層は、いわゆる「自分探し」の時代を生きたかつての若者たちだ。著者自身もその時代を若者として生きた当事者でもある。当時、「自分探し」的な生き方は肯定的に語られていたが、その着地点はいまだに上手く示されていない。 アメリカの心理学者、ロバート・リフトンは、「自分探し」的なライフスタイルの人びとを「プロテウス的人間」と呼び、新時代の強者のライフスタイルとして紹介した。プロテウスとは、ギリシア神話に登場する「自分の姿を自由自在に変えられるけれども、真の姿をあらわすことができない」神様のことだ。 それから約30年以上を経て、日本において「プロテウス的人間」のような人