睡眠不足は翌日に頭痛や倦怠(けんたい)感を引き起こし、日常生活に支障を来すだけではない。労働者の生産性を低下させ、死亡リスクを高めることにより、日本経済に多大な損失をもたらしている。睡眠不足の原因の1つとなっている長時間労働の抑制に向けて企業も動き出している。 非営利研究機関 ランド・ヨーロップの調査研究によると、睡眠不足による経済損失額を国内総生産(GDP)比で見た場合、日本は2.92%となり、調査対象5カ国のうちで最大となった。損失額で比べると、最大は米国で、年間で最高4110億ドル(約47兆円)、日本は1380億ドルで2番目となる。 睡眠不足は、職務遂行能力の低下などを通して生産性を下げる。同調査によると、日本は社会全体で年60万日を超える労働時間を損失しているという。1日の睡眠時間が平均6時間を下回る人は、7~9時間の人に比べて、死亡リスクが13%高くなると指摘。6時間未満を6~7