▲ 生後40日のクロマグロの骨格標本。紫色は硬骨で青い部分が軟骨だ。目と口が大きいのは、早くたくさんものを食べて成長するためという Photograph by Hiromichi Matono 【画像をクリックすると拡大表示されます】 こうした状況を受けて、日本では、マグロを卵から育て、成魚になってから出荷する「完全養殖」への期待が高まっています。魚の完全養殖は、日本が誇る技術で、現在マダイやヒラメ、トラフグなど、国内で養殖されている海水魚の多くは、ほぼ100%完全養殖で生産されています。当初はどの魚も、海から稚魚を捕ってきて育てていましたが、1960年代に繁殖・ふ化の研究が進み、80年代には稚魚まで育てる「種苗生産工場」が日本各地に建てられました。今やマダイであれば、天然ものの漁獲量が年間1.5万トンであるのに対し、養殖生産量は7.7万トンと、供給量全体の80%以上を占めるまでになってい